鉄棒の授業からスポーツの苦手意識が生まれる。

子ども達にとって、体育でやるスポーツ種目はたくさんある中で、
鉄棒は技ができた、できないが明確な点が良い点でもあり、悪い点でもあります。
一番辛いのは、みんなできたのに自分だけできない...という状況になってしまうと、
「自分は運動が苦手なのだ」という意識を植え付けられます。
今の親御さんの中にも、こうした体験をした人もいらっしゃると思います。
学校体育の中では他にも「走る」「水泳」なんかが、
明確に順位がついてしまうので、
運動苦手意識を植え付けられますが、
自分の前後の順位の子もいるので
鉄棒の「できた」「できない」の壁ほど大きくは感じないはずです。
ここ最近は走る授業では、
最下位の子にもみんなで応援して励ましたりする教育姿勢になりつつあるので、
順位が出る競争での問題は改善されつつあるようにも感じます。
そうなると、尚更そこで浮き出て問題に見えてしまうのが鉄棒ということになるのです。

●学校体育で鉄棒運動は無くならない。
昔から長い間、ほとんどの小学校で鉄棒授業があります。
幼稚園や保育園でもやるところが多いのは承知のとおり。
スポーツが苦手な親御さんの中には、
鉄棒なんてやらなきゃいいのに...
自分の子には鉄棒させたくないんだけど...
と思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
お気持ちはとてもわかります。
おそらく、鉄棒を恨んでる大人の方は多いでしょう。

でも、僕は、学校体育から鉄棒運動は無くしてはいけないと思っています。
その理由としては...

鉄棒はあらゆるスポーツのベースとなる運動である。

●先生が体育指導の基礎が学べる。
数あるスポーツの中でも、
鉄棒はよりシンプルな運動で、指導が簡単である。
固定した位置で行うので、一人一人に細かな指導がし易い。
技の習得に比較的時間がかからないので、より多くの子に「できた」を体験させられる。
こういうスポーツは他になかなかないんです。
だから先生にとっての教材としては優れています。
当然ながら、先生と言えど指導力は個人差があります。
一人でも多く体育指導の上手な先生は増えて欲しいわけで、
先生の指導力向上に鉄棒は大きな役割を担ってます。

●器具が耐久性があるので一度買えば長く使える。
校庭に設置された鉄棒が何十年も経ってもまだ使えていることから考えてもわかりますね。
お金がかからないのです。
学校体育ではどうしても費用がかからないスポーツをやることになります。
これは仕方ないことです。

これらを考えると、鉄棒はずっと無くならない筈です。
今後も、ほとんどの子供達が必須科目として鉄棒をするとになるでしょう。

●スポーツが苦手な子を作らない目的で鉄棒授業を無くすと、
さらにスポーツが苦手な子が増える。
もし鉄棒授業を無くしたら、
先生の体育指導レベルが落ちる。
多くの子供達は、細かな体の動きの違い(運動の原理)を学べなくなり、
スポーツを上達することの喜びが曖昧になる。
結果として、スポーツは勝敗だけのものとなり、
スポーツが嫌いな子供(いずれは大人)を量産してしまうことになると思います。
スポーツが苦手な子を作らない目的で鉄棒授業を無くすと、
さらにスポーツが苦手な子が増える結果になると思います。

僕は鉄棒はそれくらい皆がやるべき重要な要素を持っていると思っています。

学校は、皆が一律に学ぶ場所ですが、
差が出てしまうのは避けようがありません。
やるべきことは、この鉄棒の授業の前に、
(できれば親御さんが指導して)鉄棒を練習することです。
そうすれば、(自分の子だけは...)スポーツが苦手にならずに済む筈です。