鉄棒はあらゆるスポーツの基礎となる運動である。

●鉄棒はあらゆるスポーツのベースとなる運動です。
体を回転させたり、逆さまになったりする極端な動きで、
体に驚きを与えることができます。
最初は、この驚きを恐怖と感じるのが普通で、
決められた運動が出来ない子が多いのですが、
練習さえすれば「できる」ようになります。
この恐怖を冷静にコントロールし、決められた動きをするということは、
あらゆるスポーツの基礎となります。

●鉄棒は「できた」を体感させ易い運動です。
多くのスポーツは、結果を競うゲームだったり、動きが複雑だったりで、
学ぶべき要素がとても多くあります。
その複雑さが面白い反面、「できた」が曖昧でやるだけになりがちです。
特に勝敗のあるゲーム的なスポーツは、結果に目が行ってしまい、
「上達」を感じ取りにくくなります。
もちろん、鉄棒も、上手、下手の勝敗は発生してしまいますが、
技ができた、出来ないが明確なので、
他人との勝負ではなく、自分との勝負であることを意識付けし易い点が他のスポーツとは違う点です。

特に体育が好きな子どもは、
自分が「勝ち」を味わう気満々なので、
勝敗を競うゲームをやりたがります。
指導する側(学校の先生ならば)としても、放置できて楽なので、
ゲーム系のスポーツをしたくなりがちですが、
多くのスポーツ好きを生むためには、
いかに多くの子供達に、
「できる」を体験させ、それが楽しい事である...
を植え付けることが重要だと思います。

●鉄棒は分析力を育てるのに適している。
出来ない原因を自分で追及して、解決することは、
スポーツに限らず、多くの物事で重要な要素です。
このことを楽しい...と思わせることができたならば、将来は明るいでしょう。
そのために、小学生の時期は、数多くこうした分析力を学ぶ体験をしておくことが重要だと思います。

スポーツの中でも鉄棒はシンプルな運動なので、
問題を見つけて、解決するまでの流れを、
子ども自身でも理解し易い点で優れています。
自分で解決できると達成感は大きく、分析力としてその子の能力になります。

他のほとんどのスポーツは、要素が多く複雑な運動なので、
先生の指導で解決できたとしても、
なぜできたのかわからないまま...ということもありえます。
それだと、せっかくの能力として身につきません。
こうした基礎的な分析力を身につけられるスポーツはなかなか無いのです。

この点をとてもわかりやすく解説してる方がいました。
ご存知の方も多いと思いますが、
武井壮さんは、「陸上競技10種競技」の全日本チャンピンオンになった人で、
その他のスポーツにも挑戦し、今はタレントという異業界で活躍しています。
この講義を見るとわかりますが、ずば抜けた分析力の持ち主です。

この講義の中で武井さんは、
「自分の体がどう動いているのか?のイメージすること」の重要性を説いています。
(7:45からの話がそれですが、もちろん、他の講義も全部ためになりますよ。)
これこそ、これからの子ども達に教えたい「分析力」の部分です。
大人が聞くととても納得させられる話なのですが、
実際にこのことを小学生くらいに伝えようとすれば、
題材を吟味して、うまく指導しないと、
曖昧な面白くない指導になってしまう筈です。
しかし、鉄棒運動なら、
きちんと取り組むだけで、まさにこの部分を学べるスポーツだと思いました。

分析力を習得するということは、
トップアスリートを目指すならばともかく、
全ての子どもが学ぶ必要がないのでは?
と思う方もいるかもしれませんが...
スポーツを楽しいと思えるかどうかこの点が重要で、子ども全員が学ぶべきポイントだと思います。
スポーツが楽しくなり、上手くなり、自信がつけば、
明るくて、活発な子どもに育ちます。
ま、結果的にスポーツをやらなくなったとしても分析力は他のジャンルにも応用が効きます。
いずれ大人になっても社会でも「生きる力」の強い人間に育つと思います。

そのために、まずはスポーツの楽しみ方の基礎となる「鉄棒」をお勧めします。